千葉研究室の紹介                            日本語/English



研究目標
 1859年に種の起源が出版されたとき、C. Darwinが問いかけた疑問のひとつは、「なぜひとつの種から、(互いに交配できない)別の種が分かれてくるのか?」という点でした。この種分化の仕組 みをめぐる謎解きは、今なお多くの生物学者を惹きつけてやまない課題です。そしてそれからちょうど100年後の1959年に、G.E. Hutchinsonが問いかけたもうひとつの疑問―「なぜこれほどまでに多くの種がいるのか?」―は、今なお解決していない生態学上の最も重要な課題の ひとつです。私たちはこの2つの大きな疑問―種多様化をめぐる謎と、多種共存をめぐる謎―を解くべき研究課題の中心に据え、それを説明する仮説を立て、それを検証するために、フィールドワークや、実験や、数理モデルの解析を行っています。

 一方、生物の多様性は現在、グローバルな環境変化、開発による生息場所の喪失、外来種のインパクトなどにより、急速な減少に直面しています。この問題を考えるために、私たちはまず生物の多様性がどんな機能と価値を持つかを知らなければなりません。
生物が多様性を産み、維持する仕組みをさまざまなレベルで理解する ことによって、生物の多様性と生態系がどんな価値と機能をもつかを知ることができます。

 

 生態系の劣化度合いや、失われつつあるものの価値と機能を正確に知るためには、生物の多様性とその健全性を適切に評価する指標が必要です。生態系の健全性を評価する指標を開発し、それを用いた診断結果に基づいて、私たちはその修復や適切な維持管理の方策を考えます。生物多様性の創出維持機構と機能と価値を明らかにし、その状態を適切に評価するための指標を開発し、評価結果をもとにそれを適切に修復、維持管理するための方法を開発して、効果的な保全活動を進めることが、私たちの目標です。



研究アプローチ
材料
 現在扱っている主な研究対象は、貝類、昆虫類、鳥類です。その他モデル解析のため、計算機上にしか存在しない仮想の生物も扱っています。

実験 
 実験室での分子遺伝学実験、化学実験、飼育、行動実験のほか、野外での操作実験も行っています

野外調査 
 フィールドは素晴らしい自然の実験場です。私たちは日本を含む東北アジア地域や小笠原諸島を中心に、東は太平洋諸島、西はモンゴル、南は熱帯アジア地域に至るまで、広く野外調査を行っています。原生的な森林から、里山に至るまで、さまざまな人間活動のレベルに対応した生態系を扱っています。

小笠原諸島
 大陸から遥かに隔絶された海洋島である小笠原諸島には、そこで独自の進化を遂げた生物からなる特異な生態系が成立しています。島というシンプルな閉鎖系 という性質、そして独自性の高さから、小笠原の生態系は、進化学や生態学の優れたモデル系となっています。私たちはこの島の生態系やそれを構成する固有種 を対象として、進化のプロセスや多様性の維持メカニズムの研究をしています。そして、この世界遺産でもある貴重な生態系の保全に取り組んでいます。

東北アジア地域 
 ロシア沿海地方から中国、台湾にかけての地域は、世界の生物多様性のホットスポットのひとつであるにもかかわらず、その生物相の実態は多くの謎につつま れています。そしてこの地域の生物相を理解せずに、日本の生態系や生物多様性の価値を理解することはできません。またこの地域には、世界的に見て極めてユ ニークな生態系が存在し、進化や生態学研究のための、この上なく優れたモデルフィールドです。


また同時に東北アジア地域の生態系は、急速な開発により現在世界で最も危機にさらされている生態系でもあります。この地 域の生物相を解明し、その生態系の価値を明らかにすることは、急務の課題です。東北アジア地域の生物多様性の実態を解明すること、そしてその保全に貢献す ることは私たちの重要なミッションです。



学生指導
 研究を楽しむ、これが当研究室の基本です。楽しめるために、学生が主体 的に研究を進めることが重要だと考えています。飛翔するための発射台は用意しますが、レールは敷きません。自立して研究、学習に取り組むこと、そして学生 同士、あるいは他の指導者や研究者と、積極的に活発な議論や研究協力ができることを、期待しています。自由な発想に基づいて、自ら進めたい方向に研究を発 展させることを歓迎します。

研究室の所在
 川内キャンパス・川北合同棟3階323号室
 川内キャンパス地図の3番)

 青葉山キャンパス・生物棟5階505号室